実話~運命~
涙が出そうだった。

指輪が、それに詰まったものが捨てられたこともウィルがおらんくなるのも。

全てがショックだった。

またウィルが好きになっとる自分がすごく嫌だった。



「里美…俺な──」


「そうやな。いらんよな。何でわたしこんなことしとるんやろ♪」


ウィルの話を聞きたくなかった。

これ以上心に穴を開けたくなかったから。

だからウィルに喋る隙を与えないくらい話した。

これが決壊したダムってやつやろう。


「ウィルかてこんなんいつまでも持っとられたりしても嫌やしな♪てかウィルも持っとったとかビックリだったわー。懐かしいな、あん時くれたもんな~。」


それをウィルが黙って聞いていた。

そしてしばらくたったとき口を開いた。


「里美、俺な、実は」


「できたんやろ?彼女♪指輪さっき見てわかったわー。」


ウィルからは聞きたくなかった。

彼女できたって言葉を。


前にウィルの大学に行ったことがあった。

そこには綺麗で可愛い子がいっぱいおった。



そりゃウィルカッコイイし、モテるやろうし、出来るわな。
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