実話~運命~
次の日、名刺に書いてあった携帯番号に電話をかけた。

ちゃんとお礼言おうと思って。


3コールくらいで出た志水さんの第一声はお客さんかもしれんって思ったのか


「はい、志水です。」

とシャキッとした声だった。


「あ、昨日飲んだ久保崎です。」


「あー里美ちゃんか。誰かて思ったわー。どうしたん?」


「昨日のお礼、言おうと思って。奢ってもらったうえに送ってもらっちゃって…。ありがとうございました。」


「ええって。女の子は黙っとってええんやって言うたやろ?またそのうち飲み行こうな♪」


「はい、また。」


そう言って電話を切った。



社交辞令。


絶対にそのうち飲みなんてあるはずがないと思った。

その予感は的中して、それからずっと何事もなく時は過ぎ、年が明けた。


わたしはもちろんウィルとクリスマスも正月も一緒に過ごした。

ただ、ウィルは車代払ったり、わたしは欲しかった新しい携帯を機種変更したりと色々出費のかさんだ貧乏カップルだから家とかで細々としていた。


熟年カップルかのようにプレゼントさえもやったりしなかった。

でも、


「俺、就職したら絶対プロポーズするからな。里美を幸せに出来る男になるから待っとけよ。」


この言葉が最高のクリスマスプレゼントだった。
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