実話~運命~
その次の日、ウィルの家に行った。

ウィルが出かけたのを見計らってわたしは部屋に入った。

この日は仕事も休みやったし。

もちろんウィルからの連絡は全てシカトしとった。

また戻ってみじめな思いするのはたくさんや。

一人暮らし始めとったウィルの部屋にはわたしの私物がいっぱい。

それを取りに行った。


一緒に住もうて何度も言われて断り続けてたわたし。

一緒に住んでたらこんなふうにならんかったんかな??

いいふうに考えるのは簡単なことやった。


そして紙袋3つくらいにまとめた服とかパジャマ歯ブラシとかその他もろもろ。

早く出ていかんとウィルが帰って来てしまうかもしれんのになかなか足が動かんやった。


1本だけタバコを吸って落ち着いた。

もうこの部屋に来ることは二度とないんやって自分に言い聞かせて。


そして荷物を持ち、靴を履いて部屋を出た。

でも、鍵をまわすことができんやった。

終わりやってわかってても悲しくて。

涙まで溢れてしまってその場にしゃがみこんでしまった。

鍵をまわすこともせず。


でもこのままずっとおることも出来んってことはちゃんとわかってた。

チカラを入れて鍵を回し、そのままポストに投げ込んだ。

もう、鍵を取り出すことは出来ん。

これで…終わり。


わたしは足を動かし、歩き始めた。

未来へも向かって。
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