実話~運命~
「辛いな、それはほんま。」

数週間後、わたしはこの前のお礼もかねて志水さんと2人で飲みに出た。

この前言っても相当時間たってしまったけど…。


中山さんには目撃もされとったし一から話す必要もなかったから何度も飲みにつれていってもらっとった。

でも、今日は何か話したい気分やった。

だから、お礼もあるしと思って志水さんを誘った。

ほんまそれだけ。


「辛いです、でもだいぶ落ち着きました。すみません、久々会ったのにこんな話してしもて。」


「ええって、こういうのは吐き出しとかないかんやろ。里美ちゃんの重荷になるもんは軽くしとかなあかんで。」


優しく、それでも力強くわたしを包み込むように話を聞いてくれた。

志水さんは自分の話は全然せんやったけどわたしの話を一から十までずっと聞いてくれた。

このおかげもあってわたしはウィルがおらんくても平気になってきとった。



「よし、今度土日どっちかに休み取り!!出かけるで。遠出とか全然しとらんのやろ??」


「遠出…しとらんです。いいんですか?連れてってくれるんですか??」


「連れてくために言うてるんやろ。休み取れるやろ?たまには。行きたいとこ連れてったる。」



気をつかわせとるのかもしれん。

そう思ったけど断りたくなかった。

遠出なんてしとらんし、どっか行って気を紛らわしたかった。

甘えたかった、その言葉に。


「ありがとうございます。ほんま…嬉しいです。」


そしてその次のバイトで土曜日の休み希望を出すと、ずっと取ってなかったからって再来週に土曜日の休み、そして中山さんがどうせなら連休取り。と言って日曜日も店長にお願いして休みを取ってくれた。
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