実話~運命~
その数日後、バイトが終わって外に出るとそこにはウィルがおった。

左手にはまだ指輪がしっかりはまっとった。


「里美…ほんまゴメン。俺、ストーカーみたいやな。」


そう笑いながら言うウィルがやたらムカついた。

いつもみたいに笑って流そうとしてそうな気もして。


「何しにきたん?」

だから冷たく言って目線もはずした。

もうウィルには用はないんや。

もう、わたしの人生から出てってほしい。

いい思い出だけを残して。


そう言うわたしを切なげな表情でウィルは見た。


「ほんまゴメン。話だけ聞いてほしいねん。この前のこと。」


今更弁解なんて聞きたくもなかった。

クロなんは分かっとるし。


「彼女おらんて女の子に言ってベタベタ歩いてたときのこと?もうええよ。うちら終わったやん。」


「里美が一方的に終わらせただけやろ。俺は終わらせてへん。まだ里美が好きやねん。送っていくから車乗って?家に行くまでに話すから。何も嫌がることはせんから。」


わたしはウィルの車に乗り込むことにした。

ウィルが嫌がることをするわけはないことはわかってる。

でもまたわたしの心が揺らぐことがこわかったから、気をしっかりもってた。

もう、戻ったらあかんって。
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