実話~運命~
「……もう苦しめたりせんって言うとるやん。」


「ウィル、今度ゆっくり話そう。切るな。」


そう言って今度はわたしが電話を一方的に切った。

耳元からケータイを離すと志水さんが言った。


「やめとき。被害者や思ってるんならうまくいかんわ。これから先も何かあったらずっとこのネタ引っ張るんとちゃうん?」


それは冷たく言われた。


「引っ張ったりせんし!ウィルがいつもわたし追いかけるのきつい言うから。」


「だから、他の女に目行くんとちゃうん?里美ちゃん、元彼のことも無意識に苦しめてたんとちゃうん??」


考えたことなかった。

ウィルと付き合ってた頃、わたしはウィルを苦しめてたんやろうか??

普通に接しとったつもりやったんやけど…。


「里美ちゃんはええ子やで。でもな、たまに一緒におって孤独を感じんねん。」


すごいショックだった。


「どういうときですか??」


「無意識やろうな。話、聞いてないんよ。話しかけたって聞いてへんし。1人行動も激しいし。」


そういえばわたし勝手にウロウロとかしてしまうかもしれん。

だからウィルが


「里美とは手繋いどかな、不安になるわ。」


って昔だけど言ってたっけ??


「言ってくれてありがとうございます。直します!!だから……──」


「見捨てたりなんてせんし、大丈夫やって。だけどな、被害者やって思ってるその考え方はやめたがええよ。それが言いたかったねん。」


この日、ボーリング行くはずやったけど志水さんは道を車で走らせ、ずっと話しとった。
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