実話~運命~
車の中は不自然な程無言。

だから思い切って切り出した。


「ウィル、ゴメンな。」


「何が?」


「被害者はわたしやって言うたこと。」


「本当のことやん。」


「わたしやってウィルのこと苦しめたやろ。だからウィルが他の子に…。」


「俺のせいや。里美は悪くない。」


ウィルはわたしの言葉を上からかき消した。


「わたしウィルとは繋がってたいねん。だけどまたあんなことがあったら繋がってさえいれんくなるかもしれん。だから友達でいたい…。」


これが本音。

付き合うのもアリやって思った。

でもまたダメになったら今度こそ縁が切れてもおかしくない。

これまで切れてないのが不思議でたまらんくらいや。

だから繋いでおきたい。


「返事、わかっとった。無理やってな。ゴメンな。困らせて。俺も友達やって…思うようにするから。」


ウィルは詰まりながら左手でわたしの頭を撫でながら言ってくれた。

途中で降り出した雨が2人の心模様かのように思えた。

わたしやってウィルのこと、好きやから。


ウィルとあれから付き合ったって幸せだったかもしれん。

でも、違うかもしれん。


だから賭けた。

きっと未来はこの判断が正しいって思うはずやって。

それに賭けた。


この判断がわたしを幸せな道に導いてくれた。

でもそれはもっと後の話。
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