実話~運命~
「困らせてしまっとるな、俺。」


笑いながら志水さんは少しずつ力を緩め、わたしの首元から手を離した。

自由になった体でわたしは志水さんの方を見た。


「バッ、見るなって!!」


そう言って志水さんはわたしに背中を向けた。

ちょっと見えた志水さんの顔はまるでゆでだこやった。

真っ赤。

それが可愛かった。


「見るな言われたら…見たくなりますよね。」


そう言ってわたしは志水さんの正面にまわりこんで顔を見ようとしとった。

さっきまでの雰囲気、ぶち壊し。


そんなわたしから志水さんは顔を見られんよう必死に隠しとった。


2人とも笑っとった。
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