実話~運命~
外は寒かった。

風も強い。


ウィルとさっきあんなことがあったのにもう肩並べて歩いてるこのに変な感じやったけど猛が心配でしょうがなかった。

大丈夫っていう医者の言葉信じるけど…。


「里美今日、どうやってきたん?タクシーか??」


「…原付でとっさに…。」


そう言うとウィルはここが病院の外やって忘れたくらい大声で笑った。


「オマエ何歳やねん!!」


ほんま恥ずかしいし、言い返せない。

タクシーで行こうて思ったけど待ってるなんて出来ひんかったんやもん。


「どうやって帰るん?この寒いとこ原付で帰るほどバカやないよな??」


ウィルはまだ笑いながら言った。

ウザすぎる。


「原付で帰ったるわ!!どうにかなるって。」


そう言うとウィルはわたしの手を引いた。

繋ぐんじゃなくて手首を握って。


「こんな寒いし夜中に無免許運転はさせられへんねんって。」


ちょっと真面目な声でウィルは言った。


「ウィル、ほんま大丈夫やって…。」


「迷惑はかけへんから、送らせて。」


そう言ってウィルのとめてる駐車場の方に向かった。

駐車場は病院の入り口から徒歩3分程。

遠いにも程がある。

田舎のくせに。


そしてその日はウィルに送ってもらい、次の日に裕太に原付は取りに行かせた。

ウィルの優しさが心に染みた。

志水さんと付き合っとるのに…。

なんでだろう…。

心がすごく痛くてたまらんかった。
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