実話~運命~
全員が固まった。

ウィルは志水さんを見てすぐにわたしを見た。


猛のいる病室というのになんとも気まずい雰囲気。

志水さんはウィルの写メ見たことあるんで知ってるはず。

ウィルやってスーツを着たわたしと一緒にいる男ってだけで大体気付くはず。

志穂の視線合わせない顔やってわざとらしすぎる…。

でもここで1番に口を開いたのは志穂やった。


「ウィルありがとな。でも里美が買ってきてくれたんよ。わざわざ戻ってきたん??」


…わざとらしすぎる。

ウィルは引きつった笑顔で


「そっか。じゃこれは俺が食べるからええわ。なら行くな。」

って足早に病室を出ようとした。


「待って。」


そう言ったのは志水さん。

何言うん!?ってわたしはドキドキしていた。

きっと志穂も。

ウィルやって何の用やねん。って思ったに違いない。


そう言われウィルは立ち止まって志水さんを見た。

視線はすぐにはずしてたけど。


「俺が出てるから…中おり。部外者は俺やからな。」


そう言って志水さんは病室から出ようとした。


そして志水さんはそのまま出て、ウィルがそのあとをつけて行った。

何で!?って思って驚いたわたしはウィルを追おうとした。

でも志穂が止めた。


「大丈夫やって。」


そう言って志穂は椅子に座った。


「…やな…。」


大丈夫かはわからないけどそう信じるしかない。

わたしも志穂の横の椅子に座って猛を眺めとった。
< 173 / 236 >

この作品をシェア

pagetop