実話～運命～

「里美、そろそろ行き。彼氏待っとるで。」


志穂が言った。

志水さんが病室を出て１０分くらい。


「ん…。明日もまた来るな。」


「わかった。待ってるな。気つけて。」


そう言って病室を出た。

志水さん、きっと車におるやろうな。

そう思って薄暗い廊下を歩いて行こうとしたときやった。


「里美。」


後ろから聞こえるウィルの声。

振り返るとウィルが走ってきてた。


「あんた…ここ病院やで？声でかいわ。」


「そういうお前やって声でかいわ。」


そう言ってウィルはわたしの前に来た。


「どうしたん？」

そう聞くと自販機があるところの横のベンチの方へウィルは歩いた。

わたしもそっちへ行く。

そしてウィルは自販機で２つコーヒーを買った。

１つはカフェオレ、１つはブラック。

甘いものが苦手なわたしにブラックを差し出してきた。


「ありがと。」


そう言ってベンチに座った。

静かな廊下。

小さい声で話し始めた。