実話~運命~
この繰り返しだった。

給食の時もわたしの周りにみんなが集まってきてくれて色々な話を聞いた。

千尋ちゃんと梢ちゃんはこの学校の女の子で逆らう人がいないってくらいの存在だってこととか。

洋介くんと豊くんがすごく怖い人だとか。

隼人くんが学校で1番カッコイイとか。

ヤンキーはモテるって言うけどまさしくその通りだった。


全部あの中に入っている人らの話ばかり。

それほど有名ってことみたいだった。


昼休みになってもその話題。

でも突然ドアがバンッと開いた。


「里美!」


その声は低く、大きい。

洋介くんじゃない、大悟くんだった。


さっき窓側から洋介さんの妹だと誤報を叫んだ男の子が大悟くんのほうに歩み寄っていった。

その後ろの方をわたしが歩いて大悟くんの方に向かった。


わたしはさっき、尚子ちゃんらから色々おっかないって話を聞いたけどみんな外見は怖いけど中身はいい人としか思えなかった。

学校に行き始めてから初めて出来た友達だからかもしれないけど。


「慶太、お前呼んでへんから。お、おったおった里美、ちょっと来い!!」


そう言ってわたしの手を引いて大悟くんは廊下を進んでいった。


「大悟くん、どこ行くの??」


「大悟でええって。ま、ええから来いっ。」


あまりの強引さに朝、千尋ちゃんがしつこいって言っていたのが頭をよぎった。

でもわたしなんかが好かれるわけはないし。


そう思っていた。


やっぱり大悟くんは有名人らしく、通るときほとんどの人がこっちを見ていた。

わたしを見ながら”あれ、誰やっけ?”という声も聞こえる。


そして到着したところは理科室みたいなところだった。

誰もいない静まり返った広い教室。
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