実話~運命~
終わった後、康夫さんはわたしの体中を触り、出て行った。

そろそろ叔母と母親が帰ってくるもんな。


わたしは気持ち悪さとショックで吐きそうだった。

涙は出ない。

振るえが止まらない。

自分は強いはずなのに…。

そう思うけどガタガタ震える。


抵抗してもかなわないチカラがすごくこわかった。


こんな屈辱は初めてやった。



康夫さんはその後、風呂場に行ったようだったんでわたしはそれを見て外へ飛び出した。

財布も携帯も持たずに、無我夢中になって。

夏の暑い季節にヨレヨレのTシャツに短パンで走った。

そして通ったタクシーに飛び乗った。

タクシーの中でもこの暑い中カタカタ振るえとった。

いつからこんな弱くなったんやろう??



タクシーで着いたところは翔太の家。

来ること言うとらん、携帯ないし連絡も出来ひん。

タクシー代やって払えん。


タクシーの運ちゃんに待ってもらって翔太の家のベルを押した。

翔太は起きとってわたしを見て驚いとった。

そしてさしよりタクシー代の3000円ちょっとを借りて運ちゃんに払った。


そして部屋に入った。

軽蔑…されるかもしれん。


家庭が崩壊しとる家には変な奴しか来たりせんよな。

ほんま終わっとる。

わたしだけでも家出とけばよかった…。


ずっと考えとった。

そんなわたしに翔太は不思議そうな顔で聞いた。


「どうしたん?何かあった?」


翔太、ごめん。

わたし違う男に入れられたんや。

言わなきゃいけないのに…言いたくない。
< 188 / 236 >

この作品をシェア

pagetop