実話~運命~
だんまりのわたしに翔太はお茶をついでくれた。

冷蔵庫から冷えたウーロン茶が出てくる。


「里美、どうしたん。言わなわからんやろ。何かあったんやろ?」


そのとき思った。

そうや、わたしあの男に触れられたままやん。

こんな汚い体で翔太に会うなんてどうかしとる。



「ごめん、帰るな…。」


でも家に帰りたくない。

どうしよう…。


「あほか。何があったか言うて行け!!」


そんなわたしに翔太は言った。

ちょっと怒ってる。

やっぱ何かあったってことくらいはわかるよね。


「…わたし……─康夫さんに犯された…。」


正直に言うしかなかった。


その瞬間、初めて涙が流れた。

翔太の前で泣いたんは付き合ったあの日以来2度目や。


でも今回は場所は同じでもあの時とは状況が違う。

わたしは他の男とヤッてしまったんだ。


でもそんなわたしを翔太は抱きしめてくれた。


「里美っ……─。」


って言って力強く。


ますます涙は止まらん。

優しくしてるん、無理してるんやないかな??

とか思ってしまう。


でも翔太にしがみ付いてわたしは泣き続けた。
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