実話~運命~
翔太にちゃんと経緯を説明してスナックで働くことを了承してもらった。

翔太は嫌そうだったけど、番号を教えないなら…。ということだった。


店にちゃんと入るのは初めて。

それほど親や叔母の店には興味がなかった。


ビルの7階の小さな店。


カウンターに5人程座るとこがあり、ボックス席は座れても6人ってところだろう。

2人で切り盛りするにはちょうどいいのかもしれん。



8時開店。

わたしの仕事が終わるのが早番のときは7時。

中番なら8時。

遅番は9時。


「中番と遅番のときは終わったらダッシュやで!!」


という鬼の言葉にわたしは従うしかなかった。


でも9時まで仕事したって客がおるときで1組。

楽勝やん…。って思っとった。



そんな日が2週間続いた。

叔母と2人で働き、常連客の名前を少しずつ覚え始めた。

仕事もスムーズに出来るようになってきた。


そんなときだった。

仕事が終わって帰ろうとタクシーに乗ったとき見た。

あの男を。


叔母が危ない!!

そう思ってわたしはすぐタクシーを降りた。

そして走った。


その足音に気付いた男。


息切れしながら


「あんた、何しとんねん。嫌がらせ、やっぱあんたか??うちの母親闇討ちしたのもあんたか??うちの母親があんたに何したん??」


そう言いながら怒鳴った。

叔母はとっくに行ってしまった。

完全にわたし1人や。

せめてもの救いは車とか人がぎょうさん通っとるってこと。
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