実話~運命~
信じられへん。

自分が親になるなんて。

24歳で母親。

そんな早いってわけやない。


でも自分が母親になれる資格があるんやろかって考えとった。


そんなとき玄関から物音がした。

翔太が帰ってきた。


わたしは考え事ばっかしとって買い物してきとったのにゴハン作るのをすっかり忘れとった…。

翔太はおなかすかせて帰ってきとるというのに…。

最低や、自分のことしか考えてへん。



「ただいま、どうしたん?具合でも悪いんか??」


座ってボーッとしてるわたしに翔太は心配したかのように言うた。


「ごめん、今から用意するから!!」


そう言って立ち上がった。

その時翔太は見つけた。


「里美、コレ…妊娠検査やろ?もしかして…里美…」


どうしよう、ここで拒否られたら。

翔太やってもしかしたらまだ結婚したくないかもしれん。


でも嘘はつけん。

ドキドキしながら言った。


「病院行かなハッキリはわからんけど…陽性って出た。」


ボソリと言った。

翔太を見らず。


何でこのとき翔太が拒否るなんて思ったんやろ。

翔太はそんな人やないのに。


「まじで!?里美ありがと!!」


そう言って嬉しそうに翔太はわたしをギュっと抱きしめた。

嬉しくて涙が出た。


わたしに家族が出来るんやって。
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