実話~運命~
バイトも決めなきゃいけない、友達も増やしたいというよりあの2人と離れたい、恋だってまたしたい。

そんなことを考えながら校舎の裏でカチッとタバコに火を付けた。


「なんや、久保崎里美やんけ。あんたもここでタバコ吸っとるん??」


そのときいきなり声が聞こえた。

隅に座ってわたしを見て話し掛けてきたのは前の席に座っている木下志穂やった。

手にはタバコ、そして服は半分くらい乱れとった。

どう見てもヤッた後。



「あんた…ここでヤッてたん??」


「そうやで。5000円くれる言うからやったんやけど下手でたまらんかったわ。」


木下志穂は笑いながらタバコの煙を吐いた。

どうやら安奈が言ってたことはあながち嘘ではないらしい。

かといって別に偏見はないけど。



「そうなんや、そら災難やったな。相手、同じクラスの奴?」


「いや、3年。」


「へー。」


「なぁ、久保崎里美、あんた今日暇やない??」


「なんやねん、そのフルネーム。今日は何もないけど何なん?」


「組んでるツレが急用出来たんよ。あんた一緒に売りせーへん??といってもあんたは見張りだけやけど。」


「見張りいるくらいならカラオケくらいなん?」


「正解。」


「別にええで。そのかわりその金で夕食奢ってや。」


「そんだけでええん?ま、こっちは嬉しいけどな。じゃ番号教えて。」


そう言ってPHSの番号を交換した。

これが木下志穂と初めてしゃべった時だった。

この時この場所におらんかったらきっと今現在のわたしはおらんかったと思う。

それほどこの出会いは大きいものやった。
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