実話~運命~
「久保崎里美は?」


「なんやあんたら、フルネームで呼び合ってるん?じゃ俺のこともウィルソン豪って呼んでな♪」

ウィルソンはニカッと笑って言った。

それをわたしたちは苦笑いして見た。


「ウィルソン豪がうちの班の野菜持ってきてくれたらええで。1-2の3班や。」


木下志穂はウィルソン豪に冷たく言った。

でもウィルソン豪は


「ほんま?なら取ってくるわ。待っとってー。」


そう言って野菜を取りに行ってくれた。

犬みたいに跳ねて。


「なんやあいつ、どっち狙いなんやろか?」


「木下志穂に決まっとるやろ!!わたしなわけないわ。」


「何言うとるん。久保崎里美可愛いてよー言われとるで?」


「ないない。ありえんわ。」


そんな話をしながらタバコ吸ってたらウィルソン豪が戻ってきた。


「はい、これ野菜と肉な。じゃ約束やで?ちょ、久保崎さん番号教えとってや。連絡するから。」


そしてウィルソン豪と連絡先を交換してウィルソン豪はどっかへ行った。


「ほらー、やっぱ久保崎里美狙いやん♪えー男やな、ウィルソン豪。あれならタダでやってもよさそうや。」


「何言うとるん。まだわからんやろ。うちらじゃないかもしれへんし。」


そう言いながらテントの方に戻った。





そしてまずいカレーを食べた後、ウィルソン豪から電話がかかってきた。


「久保崎さん、今何しとるん?」


「今?カレー食べたばっかりやけど、なんなん?」
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