実話~運命~
「フランスなんて遠すぎるわー。久保崎さんのおる日本でええ。」


「わたしがおらんでも日本がえーくせ、よー言うわ。」


「ハハッ。」


そう言って笑うと初めてウィルソン豪はタバコを吸った。


気取ったようにタバコを吸う奴だなと思った。

あまりにもその姿がキレイだったから。








「もう帰るで。花火するんやろ?木下志穂連れてくるわ。」


「なんや、俺とそんなに2人になりたくないん?」


「わかっとるなら早く帰るで。」


「ほんま冷たいわ、里美は。」


「誰が里美やねん。どの口が言ったんよ。」


「ええやん♪里美も豪って呼んでええから。」


「絶対呼ばへん。」




こんな口げんかをしながらテントまで来た。

するとテントの中から木下志穂が出てきた。


「久保崎里美もウィルソン豪も声でかいねん。中まで丸聞こえや。」


木下志穂はすごく笑っていた。

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