実話~運命~
「で、何するん?部屋来たってなんもないで?」


入ってきたウィルを座ったまま見た。

部屋と言っても母親と裕太と同部屋。

荷物は散乱してる。



「里美、じゃんけんしよか?賭けや、賭け。」


「何の賭けなん?」


「俺が勝ったら付き合う。負けたら完璧に諦める。どや?これで最後やから。」


「わたし負けたら付き合わないかんやん。」


「50%やって。な、やってみよ。運だめしや。」



あまりにウィルがひつこいからわたしは1回勝負のジャンケンを受けることになった。

勝つ気が妙にしてたし。

そして出したのはウィルがチョキでわたしはグー。

予感は大当たり。


「あー負けてしもたわー…。」


ウィルは苦笑いしながら言って立ち上がった。


「帰るな、俺。もうひつこいこと言ったりせんから。」



わたしは座ってウィルを見つめた。

なんか可哀想になってきて…。



「ウィル、ごめんな。わたしウィルのことほんま友達としか思えへんねん。」


「わかった。もう言わんとって、今は辛いねん。てか、俺こそひつこかったな。ごめんな。」


そう言って部屋を出て行った。

わたしは後ろ姿を見つめていた。
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