実話~運命~
「久保崎…里美やないか?この女。」


運転手の男が車を止めてこっちを向いた。

全員の手が止まりその運転手を見る。



「なんや、直哉、知っとるん?」

安奈がその男に言うと男は


「この女…久保崎洋介の妹や。俺…手引かせてもらうで。」


そう言って前を向き、車から降りた。


他の男も”ほんまか!?”と言ってる。


「なんやねん、久保崎洋介は誰やねん。はよこの女やってよ。」


夏美はヒステリックに言った。

わたしは黙って流れを見ていた。


「久保崎洋介は関わったらあかん。あいつに知れたら……。頼む、コレ、コレやるから黙っといてや!!」


そう言って男が出したのは財布に入っていた札だった。

他の2人も同じく差し出した。



夏美はさらにヒステリックになって


「なんやねん!!あんたらそんなにその男がこわいん!?孝志、わたしと付き合いたいんやなかったんか!?」


その瞬間孝志という男が夏美をパンッと殴った。


「この通りや。頼む、見逃して。」


ろくでもない男だなと思った。


わたしは全員から金を受け取ると男らと夏美と安奈に向かって


「許さへんで。」


冷たく言って半裸状態で車を降りた。



洋介くんにわたしはまた助けられてしまった。

どんだけ支配力持ってんの?何してんの、いつも。


不安と心配も同時に襲ってきた。
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