実話~運命~
「そか、それならええんやけど。わたしな、1人の人間を固まってあれこれ言ったり殴ったりする人間が1番嫌いなんよ。言ってる意味、わかる?」


そう言うと3人は固まった表情を見せた。

「鈴はわたしのスカート直してくれたんよ。もう友達や。あいつを守りたいんのは分かるやろ?あいつに手出したら許さへんから♪黙っちゃおれんよ。ま、今でもあんたらボコボコにしてやりたいとこやけどな。」


そう言うと3人は顔を見合わせていた。


「分かったん?どっちや。喋れよ、イライラすんなー、ほんま。」


そう言うと1人の女が


「分かった、ごめんね。」

と何故か謝ってきた。


それにニコッと笑う仕草を見せてわたしはその場を去った。


「なるほど…。ってお前、友達出来たんかい!!」

猛は全てを察知したかのように驚いて言った。


「せっかく出来た友達が困ってるんほっとけるわけないやん。」


そう嬉しそうに言ってわたしは教室に戻った。

鈴は1人で座っていてわたしはどっかに行ってる鈴の隣の席の奴の机に座り、


「もう大丈夫や。安心してええで。鈴が可愛いから妬んだんやろうな。何かあったら言ってな?友達傷つける奴は許さへんし。」


その時鈴のキレイな目から涙が零れ落ちた。


「ありがとう…ほんま助かった…。」


そう言って。

どんだけ抱えてきたんだろうと思ったけどこれ以上聞くのはいけない気がしてやめておいた。

話したくないだろうし。



それからわたしは鈴と一緒に過ごした。

志穂は案の定友達が出来ず、休み時間になるとわたしのところに来て鈴と3人で過ごした。

放課後も3人で過ごしたり、猛が友達になった義孝や譲二と6人で遊ぶこともあった。

そして鈴はこのキレイな外見もあって背は低いけどすごくおもしろくお喋りな男、譲二と付き合うことになった。


そんなわたしは夏休みまで好きな人も出来ず、騒いで過ごした。

騒げるようになっただけよかったと思う。

でも心の中には季節が変わってもウィルがいた。

でもそれを決して表に出すことはなかった。
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