実話~運命~
「俺のことはヤス呼んでええで。で、里美はなんでそんな冷たい目しとん?」

わたしはここからヤスさんと呼ぶことにした。

呼び捨てなんてとても出来る雰囲気やない。


別にコテコテのヤクザやいうわけじゃないけどだいたい雰囲気でわかる。

目つき、話し方なども含めて。

ヤスさんは長身で髪は長く、茶色く色のついたメガネをしていた。

多分推定では24歳くらい。


「ヤスさんには関係ないやん。別に何もないわ。」


「いや、あるな。里美、お前は人にあんま自分のこと本音で言えんタイプやろ?ほら、会ったばっかの男や。全部吐いてまえ。吐かんやったらここの代金お前の分払わせるで?」


「へっ!?いくらすんの、ココ。」


「そら料理が来て見たら分かるんやないか??想像を絶する金額や。ほら、吐け。楽にもなるし。」


わたしは金のせいではない。

ただ、この人に話せる気がしていた。

会ったばっかりだけどわたしからしたらすごく大人。

人生経験も豊富そうでわたしなんかの話もすんなり聞いてくれそう。

怖い感じはするけど、そんな悪い人には見えへんし。


「わたしな、男にいつも捨てられるんよ。今まで付き合った男はまぁ・・2人て言っていいようなもんや。2人とも浮気してわたしから去って行きよった。恋するのが怖いんよ。」


「そんだけか?」


「…まだ元彼が忘れられへん。1年以上経つ今やって。夢に出てくるんよ。目閉じたら声聞こえてくるんよ。わたしの心から出てってくれへん・・・。」


「そりゃ里美が前に進む気がないからやろ?」


「あるし!!」


「いや~嘘や。わたしはどうせ捨てられるし、もう恋なんかせんと心で前の男想っとくほうが安心するわ。とか思ってんちゃうんか??」


「思ってへん!!」


そう言ったけど半分くらいは当たっていた。

恋する気がなかった。

こわかったし、ウィルを忘れる自信がなかった。
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