実話~運命~
最初というか2日間は講習やった。

ヤスさんに紹介してもらった店は結構高級らしく、かなり講習があって覚えること、ダメだしされることがたくさんだった。

でも指名とって早くお金いっぱい稼いで足洗ってもらって一緒に幸せになるんやってバカの1つ覚えのように考えとった。



志穂にも猛にも鈴にも内緒でわたしは仕事を始めた。

卒業式にだけ行った。


卒業式のときに、何してるん??

とみんなに心配されたけど


「県外の工場で働くことなってん。」

って嘘ついた。

そこで話聞いたり実習させてもらったりしとるって。


わたしの言う事をみんな信じてくれた。

寂しいて言うてくれたけど頑張ってるって信じてくれとった。

すごく笑顔でよかったって言ってくれた。


そして譲二が大学に受かったって聞いた。

みんな進学。

でもわたしはソープ嬢。


差がありすぎて泣きたくなった。

みじめでしょうがなかった。

みんなから離れて行ったのはわたしやった。



卒業アルバムには笑顔でうつるわたしと志穂とウィルと猛の写真があった。

2年の頃の体育祭やった。


あの頃に戻りたい。

戻れたら絶対こんなふうにならんよう頑張るのに。

何を頑張るんかはわからへん。

ソープ嬢にならんよう頑張るん?

ウィルと別れんやった??

ただ…今の生活があまりにひどかったから戻りたいって思ってしまった。

すごく楽しかったあの頃に。


この日だけ前進せず立ち止まることを自分で許した。

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