その一瞬に、恋をした
なんかふたりを直視してられなくて目を反らした。それをごまかすように悪態を吐いた。

「なんにもなくったっていいでしょ。私たち、旅行にきたのには、勉強も兼ねてるんだから」

凛、とよばれた女が鋭く言った。

「なんだよ、それ」
「関係ないでしょ、別に」
「…勉強ってことは、学生かよ」
「そうよ、大学生」

一番嫌いな人種だ。

「おい、明希っ」

亮二さんが叫んだ。
明希は大きな足音を立てて、厨房にはいっていくところだった。
いかにも、怒ってますって感じ。

「悪いけど、俺らお前らと仲良く生活なんてできねぇわ。…俺らに関わるなよ」

俺もそう言い残して、厨房にはいった。

あー、イライラする。

学生かよ…。

なんだか心に穴が開いたみたいだった。
何でかなんて分かんなかった。
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