〔完〕本当の愛をあたしに教えて
「優奈、久しぶり。」
隆臥があたしに話しかけてきたのは
その日の放課後のことだった。
「そうね。何年ぶりかしら。
隆臥、元気にしてた?」
「ちょうど11年ぶりだよ。
まさかこんなところで会えると思っても
なかったから嬉しいよ。」
このクラスの誰もがこの会話を
一言も聞き逃すまい。と
クラスが静まり返ったのを
あたしは一人感じていた。
もちろん、何もしらない零華は隣で
かばんに教科書を入れようとしている
手が完全に止まっている。
「そうだったかしら?」
「そうだよ。
優奈、もっと可愛くなったね
・・・もちろん、
小さいときも可愛かったけどね。」
そう言って、小さく微笑む隆臥
正直あたしが隆臥の笑顔を見たのは
このときが初めてだった。
・・・・そう。
それぐらい、笑わなくて暗い男の子が
隆臥だったんだから