〔完〕本当の愛をあたしに教えて
「それでね日本に帰るってなったとき
誰よりも喜んだのは翔だったの。
きっとあなたが日本にいる、って
知っていたからでしょうね。
でも小学校にあがっても翔は結局
紫堂グループの学校に・・・
あなたは百合華学園に・・・
とても残念がっていたわ。
私たちには絶対に言わないけど
目をみればわかったわ。
もちろん、私は翔の母親だからね。
そんな日々が続いたとき私と啓さんは
佐々木に言われたのよ。」
きっと啓(アキラ)さんというのは
翔先輩のお父様だろう・・
「翔様は一般の公立高校に行きたい
とお考えでいらっしゃるようです。」
「そりゃ、驚いたわ。
何も言わない子だったからこのまま
高等部に行くものだと思ってたから。
でも、啓さん私は反対はしていなかったわ。
むしろ翔にとって社会を勉強するには
とてもいい経験になると考えていたから。
でも今考えればどうして翔はあの
高校に行きたいの言ったのかしらね?
もしかして優奈さんはそのとき・・
二年生よね?」
「・・・は、はい。」
「そのころ進路は決めていたの?」