〔完〕本当の愛をあたしに教えて

「もう、私たちは言葉が出なかったわ。
 
 だってその頃百合華と言ったら・・・
 うちと並んでのトップグループだったん
 ですからね。

 しかもその娘さんと婚約したい。
 だなんて・・・

 でもね、私は賛成だったわ。
 私はねあのコンクールのときの優奈さんを
 覚えていたから。

 やっぱり彼女のことが好きだったのね。

 って思っていたから。

 
 でも啓さんは

 『考えておく・・・』としか
 言わなかったわ。

 そしたら翔がね、

 『もし婚約させてくれないのなら、
  俺は紫堂を継ぎません。

  でも婚約させてくれたのなら、
  これが一生のわがままなので
  お父様の願うとおりこの会社を
  継ぎます。』


 そういったのよ・・・・

 あのときの翔の覚悟は凄かったのよ。
 だって継がないってことは紫堂から 
 出て行くことになるんだからね。

 
 でもそこでお父様はもう答えをだし
 てしまったの。」


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