〔完〕本当の愛をあたしに教えて
さっきまで隆臥に向けられていた視線はいっきにあたしへと向けられた。
ただただ冷たい瞳たちがあたしを睨む。
『・・翔様と婚約されてるのに隆臥さんからもなんて』
『・・伝統行事の恥だわ。』
『どうしてあの人が。』
そんな罵声とともに・・・
あたしは足がガクガクだった。
隣の零華の腕に掴まっていないと立っていられなかった。
《では百合華優奈さん、ステージ上へどうぞ。》
それとほぼ同時に、どこからとなく出てきた係員によってマイクを渡された。
そしてあたしから隆臥がいるステージ上までの遠い道が開かれた。
これ以上近づきたくない道。
歩いてはいけない道。
道の先に待っているのは翔先輩でもない。
さっきから探す翔先輩の姿は・・ない。
棄権したのだろうか。
あたしの不安は募っていくばかり。
みんな、みんなあたしの味方なんていないんだ。