〔完〕本当の愛をあたしに教えて

会場が再び静まり返ったのをあたしは感じていた。


それでもあたしは続ける。


「私が愛しているのは翔先輩ただ一人だけです。どんな時が流れてもこれだけは変わりません。」



『そんな未来のことなんかわかるわけないじゃないか!!』

 

「隆臥・・あなたが友達以上の存在になることはないわ。」



『そんなのこれからの告白で』


「ごめんなさい。これだけは絶対に無理よ。」


私のこの発言のあと・・

体育館には隆臥が落としたマイクの音が響いた。




《・・・それでは百合華優奈さんは》


「棄権します。」



〔棄権ですって・・〕

〔何を考えていらっしゃるのか!!〕

〔本当にあの人が翔様の婚約者なんて・・〕


静まっていた体育館はすぐにあたしへの野次へと変わった。


親がいる。そんなこと関係なしに、私を言いたいように言う。


そんなとき・・


「残念だけど優奈は婚約者じゃなくて、俺の奥さんね。」



< 309 / 333 >

この作品をシェア

pagetop