〔完〕本当の愛をあたしに教えて

ローファーに履き替えて
黒のリムジンへとまっすぐ向かう


ここで、寮に入る零華とは
お別れだった


「じゃあ、何かあったらすぐ連絡
 してね。明日の朝、部屋に迎えに
 いくから一緒に行こう 」


「うん。わかった。じゃあまたね」


あたしたちはそんな会話をして
それぞれの場所へ帰ろうとしたとき・・



「・・・優奈 」



・・・これは間違いなく翔先輩の声だ


振り向くべきか振り向かないべきか


そんなことを考えて止まっている
間に翔先輩はあたしの隣に追いついていた


「・・優奈、酷くない!?
 俺が階段のところにいたの見てたでしょ


 それに
 朝、一緒に帰ろうって・・」


「言ってません。
 それと、あたしに触れないで下さい」

追いついたときからあたしの肩に
おかれていた翔先輩の手をあたしは
忘れてはいなかった。
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