淋しがりのストレイキャット
「菜月、おい待てって!」



足がそんなに速くない菜月は、すぐに捉らえることができた。

細い華奢な腕を掴み、振り返らすとその瞳は涙で濡れている。




「みっちゃん…!あたし、あたし……」





振り返らせた途端、泣きながら俺に抱き着く菜月を前に、俺は行き場のない手を宙にさ迷わせた。



もちろん今、慰めで抱きしめてやることはできる。


だが壊れ物のような菜月をただ壊してしまうだけな気がしてならなかった。






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