淋しがりのストレイキャット
その言葉に菜月は視線を反らした。


「……楽しかったの、みっちゃんとの放課後。長井くん…サッカーのことばっかりだったし、話も聞いてくれなかったし…。だから、ホントはさっき別れちゃおうかな、なんて思ったりもしたんだけど…でも、それも出来なくて…」



これが菜月の本音だ。

長井は好きだが付き合っていても淋しい。
そして俺はその淋しさを埋めてくれる人間。


どちらを選ぶことも、今の菜月には難しいのだ。


俺はこれ以上菜月を困らせたくなくて、そっと頭を撫でる。




「…今は少し休め。恋愛だけがお前の全部じゃねーだろ?」

「うん、」



そう諭すと安堵したのか、ほっと息をつく菜月。

これでいい。







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