僕のマーメイド
振り向いて近づいて行くと、
詩歌は驚いていた。
[ど、どうしたの?]
「いや、さっき詩歌、
何か言いかけてなかった?」
詩歌は驚きつつも嬉しそうな顔をした。
だがその後、ちらっと俺の後ろを見て、
すまなそうに手を動かした。
[ごめんなさい。なんでもないよ。]
「ふ~ん。そう?」
すぐ行って李乃の歌が聞きたかったが、
詩歌を放っておけなかった。
だから俺はしょんぼりする詩歌に言った。
「一緒に食べるか?」
詩歌は顔を上げて嬉しそうに頷いた。