幸せはキミと ~お嬢様と貧乏大学生~
「春子さんのお料理はとても美味しいです。それにどのお料理もオレには勿体ないくらいのお味で」
和食が得意な春子さん。今夜のメインは『金目鯛の煮付け』だった。
食材はお店の仕入れと同じなので、金目鯛もお客様にお出ししているものと同じもの。
「まあまあ。うれしい事言ってくれるのね、そんな事言われちゃうと、私次回も張り切っちゃうわよ」
腕まくりしてポーズを取る春子さんに、私たち3人は声をあげて大笑いして。
春子さんに、お兄様に。圭吾さんに私、なんて幸せな食卓なんだろう。
いつも食べているお料理が、今日は何倍も美味しく感じた。
それは。幸せのふりかけが掛けてあるみたいに。
こんな風な時間がずっと続くといいな。
私のささやかな願いだった。