幸せはキミと ~お嬢様と貧乏大学生~
*貧乏大学生
「なぁ、圭吾。今週は来れる日あるか? 美由紀と春子さんがお前を連れて来いってうるさいんだよ」
授業が終わり、カバンに教科書を入れ帰り支度をしているオレに話し掛けて来たのは、いつもお世話になりっぱなしの隆。
「なぁ。どうなんだよ」
「そんなにおじゃましていいのか? いくら春子さんたちが誘ってくれたとしても、ご両親は何も言わないのか?」
オレとは縁のないお金持ちの世界だ。春子さんたちが暖かく迎え入れてくれる事は分かっていたが、こんな庶民のオレが頻繁に出入りしても大丈夫なのか?心のどこかでずっと心配だった。
「何、気い使ってるんだよ!! そんな心配は無用だ。圭吾が来てる事はみんな知ってるし、オレのオヤジは板前出身だし、母もそういう事にはこだわらない人だ」
"だから遠慮なんかするな!"
1人で上京してきて3年目。どこかで気を張っていたオレに隆の言葉はすごく嬉しかったんだ。
「じゃあ、明後日ならバイトないんだ。遊びに行ってもいいか?」
「了解。あいつら喜ぶぞ」
隆は、春子さんに似た太陽のような笑顔で笑っていた。