幸せはキミと ~お嬢様と貧乏大学生~
「とても美味しかったです。ご馳走さまでした」
フランス料理のフルコースを戴いたけど、確かに美味しいんだけど…、
私は春子さんの作るお料理を、兄と圭吾さんと食べているあの食卓の雰囲気を思い出して、思わず涙が出そうになった。
料理は味だけじゃないよね。美味しさは誰と食べるかって事も大事で。
私は、春子さんの雰囲気と優しい兄、そして圭吾さんが好きなんだと、改めて自覚した。
「どうしたの? 具合悪い?」
「いいえ。少しワインに酔ったみたいです。すみません」
「なら良かった。また付き合ってくれるよね」
いつもの強引なお誘いに。
「はい。私でよろしければ」
私もよそ行きの笑顔で笑うしかない。
「本当はお付き合いして欲しいんだけどね。それはまた今度改めてね」
私はぞっとした。
金平さんの事が怖かった。
私はあなたとお付き合いしないといけないの?