幸せはキミと ~お嬢様と貧乏大学生~
帰りの車の中はとても静かだった。
私はさっき言われた言葉に涙が出そうになっていた。
金平さんとは、お食事だけならと思い、今まで数回お付き合いしてきた。
でも。正式なお付き合いとなると、私は堪えられない。
彼とのお付き合いを、私の両親が無理やり勧める事はない。今までの会食だって料亭の為に私が自らOKしてきた事。
でも。でも。お付き合いはしたくない。
私は私は圭吾さんが好きなんだもん。
圭吾さん、圭吾さん…。
「誰を思って泣いてるの?」
ハッとして隣を向くと、すぐ近くに彼の顔があった。
「金平さん…」
「君には好きな人がいるようだね。でもよく考えてね。料亭の為にも」
彼はニヤリと笑うとそれ以上は口にしなかった。