幸せはキミと ~お嬢様と貧乏大学生~
皿洗いをしながら思い浮かぶのは昨日のキミの顔。
美由紀ちゃんもお嬢様だもんな。大学の女友達と同様に自分の意志ではどうにもならない事があるんだろう。
だからって誰かのモノになる彼女をオレは祝福出来るだろうか。
イヤ。オレとは身分が違い過ぎるだろう。
悶々と考えながら、ひたすらお皿を洗う。
ふっと厨房から少しだけ見える店内にたまたま目を向けただけなのに…
そこに見えたのは美由紀ちゃんと同年代の男が廊下を歩く姿。
あぁ…そうか。
彼が"金平さん"か。
このお店にお客として来るだけで、皿洗いのオレとは2人は違うんだな。
改めて美由紀ちゃんを諦めなきゃいけないと思うと、心臓に重石を乗せられたみたいにずーんとして、目からは一筋の涙が流れた。
男のくせに情けないな。
こんなに彼女の事が好きだったなんて。
こんな日に強く自覚するなんて。
なんて事なんだろうか。