幸せはキミと ~お嬢様と貧乏大学生~
<出会い>
*お嬢様と
あれは私が大学2年の時だった。
私の両親は都内でも、それなりに名の知れた料亭を営んでいて、お店もある広い敷地の離れに家族が住んでいる屋敷があった。
「春子さん、バタバタしてどうしたの?」
忙しい両親に変わって、長い間この家の家事をしてくれているお手伝いさんの春子さんが、何やらバタバタと廊下を行き来していた。
「あ!美由紀さん。うるさくしてしまってすみません。隆さんのご友人がインフルエンザに掛かられたみたいで、熱も高いし、ご実家も遠いみたいで、今晩はこちらにお泊まりして頂く事になりました。今、客間にお布団のご用意を…」
60代の春子さんはベテランお手伝いさんなので、テキパキと準備をしてる。
「そう。お兄様のご友人が。大変そうね。私に手伝える事はある?」
「いえいえ。美由紀さんは近寄らないで下さいね。移ったら大変なので」
春子さんたら心配性だなぁ。
「分かりました。何か出来る事があったら声掛けて下さいね」
私はお兄様のお友達って、どなただろう?なんて思いながら、その場を後にした。