幸せはキミと ~お嬢様と貧乏大学生~
お花のお水でも取り替えようかな?
花瓶を持って洗面台に向かうと、先客がいた。
「あ…」
「あ! 美由紀さんですか? オレ、隆の友達で圭吾って言います。
この度はめちゃくちゃお世話になっちゃって、すみません。
凄い熱出ちゃうし、オレ1人暮らしで実家は遠いし、本当に困っちゃって…。すっごく助かりました」
ペコっと頭を下げる。
春子さん、すごいよ。すごい。べた褒めなの分かる。私は目の前にいる彼に目を奪われていた。
とびきりかっこいい訳ではないけれど、細身で背が高く、黒髪で小さな顔にメガネ掛けてて、笑顔がステキな人だった。
「美由紀さん?」
「あ、ご、ごめんなさい。ちょっとボーっとしちゃって。もう体調は大丈夫なんですか?」
「はい。お陰様で、すっかり復活しました」
も~、爽やかで笑顔がかわいい!!
きっとこれが、私が恋に落ちた瞬間だった。
一目惚れだったんだ。
「オレ。美由紀さんに会えてうれしい。お世話になってる間、春子さんがよく話を聞かせてくれたんだ」
「まぁ。春子さんが? どんなお話を?」
「おっちょこちょいだと言ってたよ」
かぁっと体に熱を帯び、自分でも顔が赤くなってるのが分かった。
「うん、もう。恥ずかしい」
そんな私を見て、彼は照れたように笑ったんだ。