幸せはキミと ~お嬢様と貧乏大学生~
時計の針は6時を指そうとしている。
「まだかなぁ」
リビングで独り言を呟いた時、お兄様の帰宅を知らせるチャイムが鳴った。
来た!! 私は急いで玄関に向かった… はず。
"キャ!!"
「うぁ!! 大丈夫かよ」
気が付けば、私は圭吾さんの胸にダイブしていた。
玄関に立つ圭吾さんを見た途端、玄関マットに足を取られたようだ。
「キャ。ご、ごめんなさい」
「うんもう。美由紀ちゃんは、ホントおっちょこちょいだなぁ」
私も真っ赤だったと思うけど、見上げた圭吾さんの顔も赤かった。
圭吾さんに抱きついちゃった。華奢なのにお兄様とは違う体つき。
"ボッ"
思い出しただけで顔が火照る…。
「バカ。美由紀のおっちょこちょい。いつか大怪我するぞ。気を付けなよ」 斜め前には苦笑するお兄様。
「さぁ。玄関で立ち話も何なんですから、リビングでまずお茶にでもしましょう」
そして。私の隣には、優しく微笑んでる春子さんがいた。