magic voice
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桜の花は、まだ咲いてはいない。
春がくるのを、ただ待っている。
もう少し。
あとちょっと。
『運命の時』まであと数時間。
と、朝日を受けながら桜の木は思った。
ある古びたアパートのすぐとなりに
堂々と構える美しい木。
その木が気にかけているのは、アパートに住む一人の少女。
並ならぬ可愛い容姿、周りを魅了する存在。
少し天然で、見た目も中身もふわふわで。
でも、そういえば、あの子は恋を知らない。
17才になるまでは、ね。
だって今日、彼女は『運命の時』を迎えるんだから。
今日の8時10分。
彼女は17才になる。
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