magic voice




「じゃ、わたし、行ってきますね」


ひとしきり話し終えた大家さんは、満足そうに頷き、いってらっしゃいと手を振った。

花香がそう言うと、大家さんは決まってアパートの中に帰って行く。


そしてその瞬間。

花香はいつも、桜の木と二人きりになったような感覚を抱く。

何故か桜の木も、こちらをみてくれている気がするから、


「ねえ、いつもそうやって、わたしを見守ってくれてるよね」


なんて話しかけてしまう。


…でも、今日は何かが違う。

花香には、桜の木がそわそわしているように見えた。


「どうしたの」


なんて言ったって、応えてくれるはずがないけれど。

花香は少し、胸騒ぎがしていた。





.
< 4 / 4 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

フェロモン

総文字数/1

恋愛(学園)1ページ

表紙を見る
ラブ*アリス

総文字数/1,666

恋愛(キケン・ダーク)6ページ

表紙を見る
おとぎの国で恋すれば

総文字数/1,915

恋愛(逆ハー)4ページ

表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop