Lorelei
「アップルパイ、美味しかったよ。御馳走様」

「うん。…あのね」

エトワールは小さな家の奥に走り、持ってきた小さな箱をアーレイに手渡した。


「開けてもいいの?」

「うん、十八歳おめでとう、って。仕立屋のおばさんが、少しだけお給料を弾んでくれたから」

アーレイはその箱を開ける。驚きに見開かれる瞳。

「これ!」

取り出したのは、銀色の腕輪だった。見事な装飾が施された、美しい腕輪。とても一月分の給金では足らないだろう。


「―有難う、エトワール」


噛み締めるように言ったアーレイに、エトワールは笑顔で小さく頷いた。


私だと思って、戦場でも付けていて。
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