サクラ
「ねえダイさん、もうそんなにリスナーから反応あったの?」
「え!?ああ、まあね」
彼の嘘はすぐばれる。
千晶はくすっと笑い、
「サンキュー」
とだけ言った。
「でも実際、塀の中からの手紙だってばればれの感じだったな。
サクラのスタンプなんて、何故わざわざ喋ったの?」
「梶谷て人に、貴方からの手紙ですよって知らせたかったの。
名前を読み上げる訳には行かなかったし、詳しい住所だって当然NGでしょ。自分が書いた手紙が読まれてますよって、わたしからのモールス信号のつもりだったの。
かわいいスタンプって言ったところまでは良かったんだけど、貴方もいつか満開の花をって言い掛けた時は焦ったわ。調子に乗り過ぎたって思った瞬間、ダイさんが曲流し始めてくれたから、ホント、助かった」
「礼なんかよりも、俺のクビを飛ばさないでくれたら嬉しいよ」
千晶は、悪戯を見付けられた子供がするような表情で、大越に両手を合わせてゴメンと何度も言った。