サクラ
元旦。
いつもより一時間遅い起床時間に起き、朝食の雑煮を食べ、食べ切れない程の甘味品を配当され、ささやかながら正月気分を味わう。
昼前に、一通の年賀状が届いた。
てっきり、弟か姪かと思い、差出人を見ると、麻宮千晶とあった。
筆で書かれた文字に、彼女の優しさを感じた。
余計な言葉は無い。
お体を大切に……
充分だった。彼女には番組宛てで、私も年賀状を出していたが、まさか彼女自身からこうして年賀状が届くなんて思いも寄らなかったから、このところのすぐれない気分が少しだけ和らいだ。
夕方になっても、弟からの年賀状が届かなかったのが、気掛かりといえば気掛かりだった。
暮れに姪からの手紙で入院したとあったが、その後、何の連絡も無い。
私から、弟の自宅と姪宛てに二度程手紙を送ったが、その返事すら来ていない。
心の片隅に、小さな不安を抱えたまま、新しい年は日を重ねて行く。