来栖恭太郎は満月に嗤う
プロローグ
その屋敷がどこにあるのか、詳しく知る者は誰もいない。

ただ、常人では近づけないような、暗く昏く霧深い、昼も尚漆黒の闇夜のような森の中に、ひっそりと存在するのだという。

知らす足を踏み入れてしまう者。

知りながら敢えて踏み込む者。

それらを問わず、屋敷の若き主は客人をもてなすという。

狂気と、惨劇と、恐怖という名の宴を以って。




そうか…お前もまた、屋敷の扉を叩くのだな…。




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