来栖恭太郎は満月に嗤う
復讐は満月の下で
風を切り、木々を抜けて愛馬は走る。

爽快な気分だった。

久し振りに『力』を使ったせいかもしれない。

俺ほどの名の知れた存在になると、余程の相手でない限り力の片鱗を出してまで戦いに臨む事はない。

本気を出さずして相手を蹂躙する事が可能だからだ。

事実リルチェッタの両親を仕留めた時は、本気の欠片すら出す事なく葬り去った。

ハルパスで、ようやく一割程度の力を使ったという感じか。

まぁ一割使わせただけでも、流石は南米の人外の王と誉めてやるべきかもしれない。

それほどまでに、俺は本気を出すに足る相手に事欠いていた。

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