来栖恭太郎は満月に嗤う
たとえば。

こう考えてみてはどうだろうか。

今、我が屋敷に復讐の為に留まっている使用人達。

ハルパスも含めた彼らが、『何者か』にけしかけられていたとしたら。

名を上げるように唆され、俺に挑まされた存在だったとしたら。

この復讐劇そのものが、裏で何者かが絵を描いたものだったとしたら。

使用人達の背後には、まだ俺の知らぬ黒幕が存在するのかもしれない。

そう考えて。

「くくっ」

俺はほくそ笑む。

俺らしくもない。

このように思慮を巡らせるなどと、来栖恭太郎には似合わぬ。

…そう、大きく構えていればいいのだ。

黒幕結構、陰謀結構。

そのような小賢しい悪知恵も含めて、この俺が一掃してやれば済む事だ。

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